世界一モフモフなネコ!野生に生きるマヌルネコの生態を紹介

by 佐藤華奈子 2023.01.17

ADVERTISEMENT

動物園で人気急上昇中のマヌルネコを知っていますか?「モフモフ」で「ぶさかわ」で、ネコ好きには無視できない存在感を放つ野生のネコです。警戒心が高く生息地でも滅多に見ることができないため、まだよくわかっていない部分も多いといいます。数々の不思議に包まれたマヌルネコの生態をお届けします。

そもそもマヌルネコって?

マヌルネコはモンゴル、チベット、中国からイラン西部の山地に暮らす小型の野生のネコ。特徴はたっぷりのモフモフの毛と、短い足、丸い耳です。体の色はグレー系で、カモフラージュになっているので生息地によって少しずつ異なります。しっぽには黒い縞があり、先端が黒くなっています。体はずんぐりして愛嬌たっぷりですが、なぜかいつも不機嫌に見える顔つきで、そのぶさかわなギャップで人気を集めています。
マヌルはモンゴル語で「小さなヤマネコ」という意味。英語では一般的に発見者である学者の名前をとって「Pallas’s cat(パラスのネコ)」と呼ばれています。そのほか単に「manul」、草原のネコという意味の「Steppe cat」とも。発見された当初はペルシャ猫の祖先と考えられていましたが、誤りでした。後におよそ600万年前から存在する種であることがわかり、世界最古のネコとも呼ばれています。

マヌルネコの生態

野生動物の中ではまだマイナーな部類ではありますが、実はずっと昔から存在していたマヌルネコ。一体どんな生態をしているのでしょうか?

  

何を食べている?

マヌルネコはおもに岩場に住むナキウサギやマーモット、ハムスター、スナネズミなどの小型の哺乳類を補食します。鳥やトカゲなどの爬虫類、虫を捕まえて食べることもあります。
獲物を追いかけるのではなく、忍び寄って一気にとびかかる方法で狩りをします。虫のような小さな生き物は、前足ですくうように捕ることもあります。このような狩りの方法なので、岩場からのぞいたときに耳の先が獲物や天敵から見えないように、耳は丸く、低めの位置についているのです。

  

どこに住んでいる?

生息範囲はモンゴル東部からイラン西部にかけてと幅広く、16ヶ国にわたります。範囲はとても広いですが、実際の生息地は限られた場所で点在する形になっています。いずれにしても、乾燥して非常に寒い高山帯の岩場や草原でひっそりと生きています。
いつも単独行動で、とても広い縄張りの中を1頭で動きまわっています。例外は3月頃の繁殖期の間だけ。この期間のわずかな時間をペアで過ごします。出産をした母親は半年ほど子猫を育てます。子猫は自ら狩りができるようになったら母親の元から巣立ちます。
巣に関しては、ナキウサギやマーモットなどの獲物を捕らえたあと、その巣穴に住んでしまうことがあります。外に置かれたままの農機や古い小屋などの人工物に住むこともあり、住環境に関しては柔軟に対応するようです。

  

ネコの仲間で1番長い毛!

マヌルネコの体重はおよそ3~5㎏、体長は60㎝ほど。体の大きさはイエネコとほとんど変わりません。ですが毛が長いので実際はイエネコよりもずいぶん大きく見えます。その毛の長さは約7cm。ネコ科の中で最も長いといわれています。さらに1平方cmあたり9,000本の毛が生えていて、こちらもネコの中で最も多いのだとか。これは間違いなく世界一モフモフのネコといえるでしょう。冬には氷点下50度になることもあるという厳しい環境で生きていくために、ボリュームたっぷりの毛は欠かせないものです。
冬の寒さから体を守るのは、毛だけではありません。秋の間に冬に備えて体に脂肪を蓄えるので、冬季の体重は約6~7kgに。体重が夏の2倍になる場合もあるそうです。

  

機敏に動くことは苦手

長い毛に体を包まれ、冬には脂肪を蓄えることもあり、マヌルネコはあまり機敏に動くことはありません。走ることも苦手で、どちらかというとのんびりした動きになります。さらに足が短いため、雪だまりにはまってしまうことも。野生のヤマネコといえば、スマートで俊敏な動きが想像されますが、マヌルネコには当てはまりません。
ちなみに天敵はユキヒョウやオオカミ、ワシなど。おもに岩場の影に潜み、これらの天敵から隠れています。

  

人間のことも苦手

ネコの中で最もふわふわな毛並みのマヌルネコ。ネコ好きなら撫でたり抱き上げたりしたくなりますね。ところが、マヌルネコは慎重な性格。飼育員の思うようにいかないことも多いのだとか。現地で飼い慣らすことも試みられましたが、成功には至りませんでした。残念ながら、一般の人がマヌルネコに直接触れることも、まして家庭で飼うことも叶わないでしょう。
とはいえ、国内のいくつかの動物園で飼育されているので、その姿を見ることはできます。あくまでも野生動物として、姿を見ることで癒されていきましょう。

 

まとめ

マヌルネコの特徴や生態を紹介しました。マヌルネコは現在、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで低危険種(LC)とされています。(2023年1月時点)すぐに絶滅の危機にあるランクではありませんが、生息地が分断されていることに加えて、開発による生息地の減少、乱獲、密輸、イヌによる補食などさまざまなリスクを抱えています。これからもマヌルネコに目を向けて、マヌルネコを取り巻く自然環境のことも考えていきたいですね。

ADVERTISEMENT
コメント7

Ameさん

モンゴルの田舎では良くマヌルネコをみかけます。可愛いすぎる!

|

奏天みるくさん

自由勉強の役に立ちました!ありがとうございます!このサイト最高です!!!

|

おいちゃんさん

キャラクターだけと、思っていたよ!マヌルネコ!実在するんだ!

|

くうぇおさん

めっちゃかわいい!

|