【ペットと防災】犬の災害対策を考えよう① ~犬と私の東日本大震災~

by アニコム 犬チーム 2019.03.07

ADVERTISEMENT

ワンちゃんと暮らす方のなかには、3月11日が近づくと「自分も、わが子と災害に遭ったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。


アニコムにも現在ワンちゃんと暮らしていたり、かつて暮らしていた経験を持つ社員が大勢いて、愛犬の災害対策は、他人事ではありません。なかには、愛犬とともに東日本大震災を経験した社員もいます。


そこでこの企画では2回にわたり、実際の被災体験を通して、愛犬の災害対策について考えてみたいと思います。前編では、前述の社員、野地雄太さんに、被災当日のことを振り返ってもらいます。


あの日、野地さん一家にどのようなことが起きたのか? その話から私たちが学べることは、きっとたくさんあるはずです。


【当時の野地さん一家の状況】

<住居>仙台市(津波被災から1㎞ほど離れた場所)

<被災場所>自宅(戸建/二階建て)

<家族構成>父、母、本人(当時は高校生)、妹(当時は中学生)、犬3頭

<犬について>ゴールデン・レトリーバー(7歳)、ミックス(中型/推定10歳以上)、チワワ(4歳)


揺れで勝手に開く窓

被災当時、自宅にいたのは、勤務時間の関係でたまたま家にいた母と高校卒業直後の私、そして3頭の犬たち。父は仕事に、妹は学校に行っていた。


▲クレセント錠

思い出せるのは、地震の揺れで鍵が開き、窓が勝手に開いてしまうこと(鍵はクレセント錠)。閉めても閉めても、揺れで勝手に開いてしまう。


7歳とはいえ、まだまだ体力のあったゴールデンは以前にも脱走した経験があり、逃げ出せばどこまで行くかわからない。窓から飛び出さないよう犬を抱きとめながら、窓が開いては閉める、を繰り返した。


一方、ミックスとチワワはいつも過ごしている2階のベッドで寝ていたときに被災。周りに背の高い家具もなく、倒れてくるものがなかったのは幸いだが、チワワは怯えきって震え、ミックス犬は老犬でもあったことから、粗相をしてしまっていた。


▲一緒に被災したうちの1頭。小型犬は、やはり避難時のコントロールがしやすいと実感したそう


何をすれば…混乱のなか、津波警報が

地震発生直後は、正直何をしたらいいのかわからなかった。情報もまったく入ってこない。とりあえず外に出て、近所の人たちが集まってくる中、ヘリコプターで津波警報が知らされた。


とにかく動かなければと焦り、学校から戻ってきた妹と合流し、人間3人と犬3頭で母の軽自動車で移動することに。持ち物はリードと、チワワを入れるキャリーのみ。水やフードなどを持ち出すことにまで、頭が回らなかった。


愛犬との同行避難を試みるも…

▲最年長だったミックス

ゴールデンは車に乗り慣れていたものの、母の軽自動車には乗せたことがなかったうえ、犬2頭以上を同時に乗せたこともなかった。私を挟むかたちで後部座席にゴールデンとミックスを乗せ、助手席の妹がチワワを抱きかかえた。


地震のストレスからか、車中ではゴールデンが吠え続け、ミックスは数回粗相をした。近所の小学校に向かったが、すでに人があふれかえっていて入れない。別の避難所を目指そうにも、道は大渋滞している上、運転に支障が出そうなほどゴールデンが吠え続けたため、一度家に戻ることに。


飾っていたガラスの置物や食器類が割れたり、本棚が倒れたりしたものの、自宅は生活ができる状態だった。電気、ガスは止まっていたが、微量ながら水を使うこともできた。犬たちのフードのストックもあり、ライフラインが復旧するまでの間、結局自宅で乗り切ることができた。


もし避難所に行くことになっていたら、大型犬もいるので、おそらく早めに避難所を出ていたと思う。吠えぐせや噛みぐせがある犬ならなおさら、飼い主は肩身が狭い思いをするかもしれない。やはり、日ごろからしつけや社会性を身につけておくことは、とても大切だと感じた。


あの日を振り返って

地震が起きた15時前は通常なら誰も家にいない時間帯。当日、たまたま運転ができる母と私が家にいたのは、不幸中の幸いだった。


もし誰もいなければ、母が家に戻るまでに20~30分、父に至っては1時間以上かかっていたはず。私も学校から戻るのに30~40分かかるため、一番早く家に戻れる中学生の妹ひとりでは3頭を連れて逃げることはできなかっただろう。


犬たちと被災して思ったこと

被災後、ミックスとチワワはストレスのためか、下痢気味だったが、数日で回復。そのほか、食欲が減ったり眠れなくなったりといった変化は、特に見られなかった。


大型犬・中型犬・小型犬のなかで一番手がかかったのは、やはり大型犬のゴールデン。車中での落ち着きのなさや窓から飛び出してしまうかもしれないことなど、災害時にコントロールするのは大変だった。


▲ゴールデンはサークルに入れても柵を越え出てしまうとか

あってよかったと思ったものは、ハーネスタイプのリード。足元が危ない道を散歩させるとき、首輪だけでは制止できないので、これは助かった。


逆に、まだ寒い時期だったので水があまり出なくても何とかなったが、これが夏場だったら乗り切れなかったと思う。やはり水は大量に用意したほうがよいと感じた。


また、割れたガラスなどを片付ける間、あまり犬たちに動き回ってほしくなかったので、おやつやガム、オモチャなど犬たちがおとなしく時間を過ごせるアイテムがあればよかったと思った。


状況が変われば、また新しい悩みが

▲震災後に家族に加わった2頭


当時一緒に被災した3頭のうち、ミックスとゴールデンは亡くなり、現在は当時4歳だったチワワを含む3頭が実家に暮らしている。


全頭小型という点では大型犬がいたときより楽かもしれないが、新たな課題は、3頭のうち2頭の相性が悪いこと。車中や避難先でその2頭を離しておけるのか、頭を悩ませている。




野地さんの体験記、いかがでしたか?


後編はこの物語から、どのような災害対策が必要になるのか、考えてみたいと思います。


【関連リンク】
人とペットの災害対策ガイドライン(環境省)


【関連記事】
犬の災害対策を考えよう② ~被災体験から学ぶ犬の防災~

ADVERTISEMENT
コメント0