2021.02.15

2021年2月13日(土)午後11時頃、福島県沖で最大震度6強の地震が発生しました。
この地震による迷子のペットの捜索をお手伝いします。
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SNSには、地震の恐怖から脱走してしまった猫に関する情報が多く投稿されています。また、地震発生から時間が経過しても、怖い思いをして、小さな身体を震わせている猫も多いかもしれません。
そのような状況を受け、今回は緊急特集として、地震などの大規模災害発生時を想定した猫のトラブルへの対処法を、猫に詳しいアニコム獣医師・小寺先生に聞きました。
猫が脱走してしまった場合、探し方のポイントは?
こんにちは。獣医師の小寺です。
私も2018年の大阪地方での地震を体験しましたが、地震直後、猫は物陰に隠れて息をひそめていました。一緒に避難するためのケージなどは準備してありましたが、物陰に隠れてしまってどこにいるかわからなくなりました。そういう状況になってしまうと、飼い主としてはつらいですよね。
さて、まずは脱走してしまったときの対策です。
外猫の平均移動距離は200m以内の子が多いといわれています。室内飼育の猫はもっと行動範囲が狭いと考えられるので、まずは家の周りの隠れやすい物陰を探してみましょう。
<捜すときのポイント>
大きめの洗濯ネットなどとお気に入りのごはんを用意する
時間帯は日中よりも夕方以降がおすすめ(日中は警戒して物陰に隠れていることが多い)
急に近づくと逃げてしまうことがあるのでゆっくり近づく
ごはんで気を引きながら油断したタイミングでタオルや洗濯ネットをかぶせて捕獲
見つけたときに焦って騒ぐと逃げてしまうので注意!
猫がパニック状態になっているとき、どう接すればいい?

恐怖心からパニック状態になってしまう猫もいます。そんなときは、落ち着いた環境を整えて、猫がマイペースで過ごせるようにしましょう。
猫は狭くて暗くて静かな場所にいると落ち着く傾向にあるので、そういうスペースを準備できればしてあげるとよいでしょう。
物陰に隠れてしまっている場合は、無理に引っ張り出さず、猫が通常モードになるまで猫のペースに合わせて接してあげてください。
もしも、不安を訴えてくるようでしたら、やさしくなでてあげてましょう。
猫がごはんを食べなくなってしまった場合、どうすればいい?
地震のショックから、ごはんを食べられなくなる猫もいます。家族としては心配になりますが、持病などがない猫だったら、1~2日程度は食べなくても大丈夫な場合が多いでしょう。
ドライフードなら置いたままにしておくと、知らない間に食べてくれることもあります。少しでも食べられるようになったら、水分補給も兼ねられるので、缶詰やペースト状のものを与えるとよいでしょう。
もし2日以上経っても食べられない状態が続いていて、具合が悪そうだったら、念のために病院へ連れて行ってください。
猫にミネラルウォーターは飲ませても大丈夫?
地震の影響で飲み水が不足し、市販のミネラルウォーターを飲むケースも多くなるでしょう。
ミネラルウォーターには硬水と軟水があります。猫に硬水を与えると結石になる可能性が高くなるので、やむを得ず与える場合は軟水にしましょう。
猫がケガをしてしまった場合の応急処置は?

<出血がある場合>
清潔なガーゼなどで圧迫してまずは止血しましょう。
身体に汚れがついていたら、水道水で洗い流してあげ、ケージ内で安静に過ごさせます。
<骨折している場合>
動き回らないように、ケージ内で安静に過ごさせます。
暴れると折れた骨が周りの組織を傷つけ、炎症を起こすこともあるので、そっとしておくのが一番です。
いずれの場合も、通院可能になったらすぐに通院してください。
脱走した猫たちが早く家族と再会できますように

小寺先生、ありがとうございました。
地震のショックからストレスを抱えている猫たちに、無理強いは禁物。猫のペースに合わせ、やさしく名前を呼んであげたり、話しかけたりしてあげたいですね。
脱走してしまった猫たちが早く家族と再会できて、落ち着いた環境で過ごせるようになることを心から願っています。