犬の耳掃除を徹底解説! 頻度は? 正しいやり方は? 

by 獣医師 平野翔子 2020.10.29

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犬の日常ケアとして、耳掃除はした方がよいのでしょうか?でも、耳掃除のし過ぎもよくないっていうし、結局どのくらいの頻度でした方がよいのでしょう。人だと耳の入り口から鼓膜までまっすぐ一直線なのに対して、犬の場合は鼓膜までの間に途中で曲がっているので、人よりも少し複雑になっています。一体どこまでお掃除したらいいの?どうやって掃除するの?そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。今回はその疑問にお答えしていきます。

そもそも耳掃除はしたほうがいいの?

そもそも犬の耳掃除はした方がいいのでしょうか。実は、外耳炎などのトラブルがなければ、基本的には耳掃除は必要ありません。これは、本来耳には奥でできた耳垢を手前から外に出す『自浄作用』が備わっているからです。逆に、耳の本来持っている自浄作用を阻害してしまうような間違った耳の洗浄をしてしまうと、外耳炎の原因になってしまうことがあります。なので、無理に耳の中を掃除して、耳垢を全部とりきるというのではなく、自浄作用によって出てきた見える範囲の汚れを優しく拭き取るくらいのケアがよいでしょう。

犬の耳に汚れがあるときは?

耳の中に汚れがある時には、その量に注目してみましょう。量が少なく、耳の中に赤みや痒みがなければ、それは自然と出てきた耳垢なので、優しくコットンなどで拭き取ってあげましょう。耳垢の量が多い、もしくは耳の中が赤い、痒がったりする時には、外耳炎を起こしているかもしれません。特に黒い耳垢が多い時には、耳ダニという目には見えない小さなダニが寄生している可能性もあるので、病院でしっかりと診てもらいましょう。

耳掃除が必要なのはどんな犬?

アメリカンコッカーの子犬

外耳炎が起きている時や、脂漏症などで分泌物が多い犬、アメリカン・コッカースパニエルなど耳垢腺が過形成を起こしている犬、短頭種などの耳道が狭い犬は、耳掃除が必要になります。その他にも、たれ耳の犬種も耳が汚れやすいので、定期的にチェックしましょう。

上記の犬種に限らず、耳垢がたくさん見られるときには、一度動物病院で耳の中の様子や耳垢の状態を見てもらい、耳掃除について相談するといいでしょう。

家で耳掃除する際のやり方は?

家で耳掃除をするときの注意点として、奥まで触らない、耳の中を傷つけないことが大切です。耳のヒダの見える範囲にクリーナ等を使用してコットンで拭うのが良いでしょう。 では、たくさんの耳のケアグッズが市販されていますが、自宅でのケアの際にはどのようなものを使用するのがいいでしょうか。

コットンで拭く

コットンをお湯やイヤークリーナーで湿らせ、見える範囲の汚れを優しく拭き取りましょう。

洗浄液はどんなものがおすすめ?

コットンを湿らせるための洗浄液(イヤークリーナー)は実際に使ってみて、犬の耳に痒みなどの変化がないことを確認するといいでしょう。外耳炎が起きている時や脂漏症(皮膚の新陳代謝が異常に速くなり、全身の皮脂腺の分泌が過剰になったり、皮膚の角化が異常に亢進した状態のこと)など分泌物が多い犬、アメリカン・コッカースパニエルなど耳垢腺が過形成を起こしている犬、短頭種などの耳道が狭い犬で耳道内の洗浄が必要な場合はプロテクタータイプがお勧めです。プロテクタータイプは、耳の中に残存してゆっくりと耳垢を溶かし、耳垢を排出するので、何度も耳に液体を入れ、回収するということが必要ありません。 耳の炎症がひどい場合は、自宅での耳道内の洗浄は推奨されないことがあります。初めて耳道内の洗浄をする場合は、事前にかかりつけ病院の先生に相談しましょう。


【関連リンク】
脂漏症 <犬>

綿棒を使うのはアリ?

綿棒を耳の奥まで入れる使い方はしないでください。耳道の奥に入れると耳垢を耳道の奥に押し込み、汚れが耳の奥に溜まってしまい、外耳炎の原因になる可能性があります。また、耳道内は傷つきやすいので、もし使用する場合は見える範囲内を優しく拭う程度にしましょう。

耳のチェックの頻度は?

犬種や耳が汚れる頻度にもよりますが、週に1度はお耳の様子をチェックしてみましょう。

嫌がるときの対処法

ゴールデン・レトリーバーをなでる

健康な耳には自浄作用があるため、嫌がる犬に無理やり耳掃除を行う必要はありません。嫌がる場合は、耳に赤みや大量の耳垢がないかを確認するだけでもいいでしょう。耳のチェックを愛犬とのスキンシップの1つとして捉え、耳を触れたら、褒めたりご褒美をあげたりして、耳を触れるのに少しづつ慣らしていきましょう。

犬の耳垢にはどんな特徴がある?

どんな色?どんな形状?

カサカサしているタイプやベタベタしているタイプなど、個体差があります。色は茶色が正常です。

 

病気の兆候はわかる?

・膿のような黄色いドロッとした耳垢の場合:耳道内で細菌感染を起こしている可能性があります。

・茶色の耳垢でも量が多く、耳道内が赤い場合:マラセチア(皮脂などを好む真菌というカビの一種のこと)が増えていることがあります。

・黒く耳垢が大量に出る場合:耳ダニが寄生している可能性があります。

耳垢にも個性が見られますが、いつもと違う耳垢が見られたり、耳が赤い、腫れている、痒がる時には耳にトラブルを起こしている可能性があるため、病院に相談しましょう。

耳掃除は愛犬との楽しいスキンシップの時間に

なでられるコーギー

耳掃除は結構大変と思われていた方も、絶対にしなきゃいけないわけではないんだ、優しく拭き取るだけでいいんだと思って肩の力を抜くことができたのではないでしょうか。耳掃除は、優しく短時間で行い、終わったらいっぱい褒めて、愛犬との楽しいスキンシップの時間にしていただけたら嬉しいです。


【獣医師 平野翔子先生のプロフィール】

2012年に東京農工大学を卒業後、24時間体制の病院に勤務し、予防診療から救急疾患まで様々な患者の診療に従事。その傍ら、皮膚科分野で専門病院での研修や学会発表を行い、日本獣医皮膚科学会認定医を取得。皮膚科は長く治療することも多く、どうぶつたちの一生に関わり、幸せにするための様々な提案や相談ができる獣医療を目指す。パワフル大型犬とまんまる顔の猫が大好き。

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