犬の鼻水は危ない?知っておきたい犬の鼻水の原因と対策

by 獣医師 平野翔子 2020.09.23

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犬の鼻水と言ってもピンとこない方が多いかもしれません。少量の鼻水であれば、犬は舐めとってしまうため、気がつかないことも多いです。鼻水が垂れていたら、たくさん鼻水がでているということなので、注意して観察を行う必要があります。犬の鼻水の原因は、生理的な反応やアレルギー、感染症、歯周病、異物、肺炎、鼻腔内の腫瘍などさまざまです。鼻水が見られたら、元気や食欲、くしゃみ、目、呼吸などに違和感がないか観察し、早めに病院に相談することが大切です。本記事では、鼻水の症状や原因、対処法を解説します。

犬の鼻水の原因

くしゃみをする犬

犬は生理的な反応やアレルギー、感染症、歯周病、異物、肺炎、鼻腔内の腫瘍までさまざまな原因で鼻水が見られます。詳しく原因を見てみましょう。

異物が鼻に入る

お散歩で草むらに顔を突っ込む犬は、鼻の中にノギ(イネ科の雑草の先端にある針のような突起)や草や砂などの異物が入ることで、鼻水が出ることがあります。また、嘔吐の後にくしゃみや鼻水が見られる場合は、吐物が鼻に入ってしまっていることがあります。散歩や嘔吐の後から、急にくしゃみや鼻水、違和感から頭を振るといった症状がみられるときには、異物が原因の可能性があります。

鼻炎による鼻水

鼻炎とは、鼻腔内の粘膜に炎症が起きた状態のことです。ウイルス、細菌、真菌などの感染で起こる鼻炎や、花粉やほこりによるアレルギー性の鼻炎は、鼻水を起こす最も多い原因です。また、老犬では、歯周病の感染が鼻まで波及して鼻炎を起こすことも多いです。鼻腔内の腫瘍によって鼻炎が起きることもあります。初期では水のようなさらさらした鼻水が出ますが、慢性化したり感染を起こしたりすると膿が混ざってドロッとした鼻水に変化します。慢性化すると、副鼻腔に膿がたまる副鼻腔炎になることもあります。

寒さによる鼻水

人間も寒い所にいると鼻水が出てきますが、犬も同じように寒さで鼻水を垂らします。体内に冷たい空気が入らないようにするため、体は鼻への血液の供給を増やします。これは増加した血液によって、鼻で冷たい空気をあたためてから体内にとりこむようにするためです。そうすると鼻腔内の分泌腺や血流が活発化するので、鼻水が作られます。同じように刺激臭を嗅いだときも、刺激を排除するため、防御反応として鼻水が多く作られます。これらの生理的な反応で出る鼻水は、さらさらとした透明のものです。時間が経てば落ち着くので、様子をみましょう。

犬の鼻水と併発して起こる症状

鼻水が出ているときは、併発して他の症状が起こることがあります。鼻水と同様、鼻の粘膜が刺激されて起こるくしゃみや、肺炎の時に見られる微熱などがあります。また、鼻に異物が入ったときには、呼吸音や吠える声に変化が見られることがあり、鼻腔内に腫瘍があるときには、いびきや呼吸困難が起こることがあります。併発して起こる症状のいくつかをご紹介します。

鼻水とくしゃみが出ている

くしゃみと鼻水は、パウダー、エアゾールなどによる刺激や花粉やハウスダストなどへのアレルギー反応で起こることが多いです。症状が軽度で短時間で治まる場合は、掃除をしたり、芳香剤などの使用を見直してみましょう。とりわけ特定の季節に症状が出る場合は、花粉などのアレルギーの可能性が高いので、空気清浄機を使用するのも良いでしょう。ウイルスや細菌の感染、肺炎、歯周病、鼻腔内腫瘍、異物でもみられることがあります。

鼻水と熱が出ている

鼻水と一緒に発熱がみられる場合は、ウイルスや細菌の感染により肺炎などの呼吸器感染症を起こしていることがあります。肺炎は重症化すると命に関わるので、体温が高く感じたり、元気がなかったりする場合は早急に病院で診てもらいましょう。特に子犬を家に迎え入れた後に、鼻水、微熱、咳をよくする時には、『ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)』というウイルスや細菌の複合感染により起こる病気を発症しているかもしれません。ケンネルコフは重症化することがあるので、早めに病動物院にかかりましょう。

鼻水と目やにが出ている

鼻と目は管でつながっているため、鼻に入った病原体が目まで広がり、結膜炎になり、目やにが出ることがあります。ウイルスや細菌の感染が原因で起こります。アレルギー性鼻炎では、アレルギー性結膜炎を併発することがあり、目やにが出ることがあります。

犬の鼻水の色の特徴

鼻を舐める犬

鼻水の色は、さらさらして透明のもの、ネバネバして膿が混ざった黄色のもの、出血で赤いものの3つに分類されます。

透明の鼻水

透明の鼻水は通常さらさらとした水様です。少量の短期間であれば、ほこりなどの異物を鼻水やくしゃみで排出しようとする生理的な鼻水と考えられますが、ウイルス感染の兆候のこともあります。子犬では、ケンネルコフのことが多いです。軽度な鼻炎では透明な鼻水だったものが、炎症が重症化するとネバネバの黄色い鼻水に変化することがあるので、注意が必要です。

黄色の鼻水

黄色の鼻水は、細菌が関与していることが多いです。ウイルスや真菌、異物や腫瘍などによる鼻炎に二次的に細菌の増殖が起こることでも生じます。中年~高齢犬では歯周病からの感染の波及も多いです。黄色の鼻水を放置しておくと、蓄膿症になる可能性があります。犬の蓄膿症は治りにくいので早めの対処が必要です。

出血性の鼻水

鼻水が赤かったり、ピンクがかっていたりする場合は、血液が混ざっています。鼻出血は、激しいくしゃみの後や、真菌の感染、外傷、重症化した鼻炎で起こることが多いです。慢性化している場合は、鼻腔内の腫瘍の可能性があります。また、高血圧、止血異常といった病気でも鼻出血は起こるので、すぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

犬の鼻水が出たときの対処法は?

診察される犬

少量かつ短時間で治まる鼻水は、温度管理と室内の掃除を行い、洗剤や芳香剤などにおいが強いものの使用を見直してみると良いでしょう。鼻水が出る病気には、進行すると重症化してしまうものもあります。透明の鼻水でも量が多かったり、なかなか治らない場合には、動物病院にかかって原因を突き止めましょう。特に黄色の膿のような鼻水や鼻出血が見られるとき、元気や食欲の低下や呼吸の変化などが見られるときは、早めに病院にかかり、きちんと対処するのが良いでしょう。

病院で原因を調べてもらう

病院ではまず問診で「急性に起きたものなのか、慢性経過なのか」、異物の可能性を確認するために「発症したタイミングはいつか(散歩や嘔吐の後でないか)」「他の症状はあるか」「鼻水が両側に見られるのか片側だけなのか」「鼻水の色は何色か」などを聴取し、可能性のある病気を絞り込んでいきます。あらかじめこれらの情報をメモしていくと良いでしょう。鼻水の写真を持っていくのもおすすめです。その後、視診と触診といった身体検査で、顔の形、口腔内の様子、リンパ節の腫脹を確認し、状態を把握します。必要に応じて、鼻水の細胞診、レントゲン検査を行います。確定診断には、全身麻酔下での鼻の内視鏡検査、C T検査、鼻の粘膜の組織生検検査が必要になることもあります。

原因に対する処置をする

原因によって、抗菌薬や抗真菌薬、抗アレルギー薬などが処方されます。鼻の内視鏡による異物の除去や、鼻腔内の腫瘍の治療、抜歯などの歯周病の治療が必要になることがあります。

鼻水の拭き取り方

透明の鼻水はティッシュなどで優しく拭いてあげるとようでしょう。膿様の黄色の鼻水は、蓄膿にならないようにこまめに拭き取りましょう。鼻づまりを起こすと、においが分からなくなり食欲が低下することがあります。 鼻水が固まっているときは、40℃程度のお湯で濡らしたタオルを鼻に軽くあてて、鼻水をふやかしてから取るといいでしょう。

まとめ

抱っこされる犬

鼻水は健康のバロメーターの一つです。犬に鼻水が見られたら、片側なのか、両側なのか、くしゃみや元気食欲など他に変わった所がないか観察してみましょう。慢性的な鼻水は、人間同様、犬も不快に感じます。病院に相談し、適切な対処を行いましょう。


【獣医師 平野翔子先生のプロフィール】

2012年に東京農工大学を卒業後、24時間体制の病院に勤務し、予防診療から救急疾患まで様々な患者の診療に従事。その傍ら、皮膚科分野で専門病院での研修や学会発表を行い、日本獣医皮膚科学会認定医を取得。皮膚科は長く治療することも多く、どうぶつたちの一生に関わり、幸せにするための様々な提案や相談ができる獣医療を目指す。パワフル大型犬とまんまる顔の猫が大好き。

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