飼い主が知っておきたい「犬の皮膚病」! その症状や対策は?

by 編集部 2020.07.28

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皮膚病は最も日常的にみられる犬の病気の一つで、「アニコム家庭どうぶつ白書2019」によると、犬全体の保険金請求件数の約1/4(24.9%)を占めています。それだけ飼い主さんでも気づきやすい病気だとも言えます。今回は、犬の皮膚病について、わかりやすく簡単に解説していきたいと思います。

犬の皮膚病の症状

ふせをする犬

主な症状をご紹介します。

毛が抜ける(脱毛)

脱毛は、皮膚病と密接な関係があります。犬は身体中が被毛で覆われているため、皮膚の様子を直接見ることはできませんが、皮膚病によって「脱毛」が起きることで病気に気づくことがよくあります。

この時に注意して見てほしいことが、「毛が切れているかどうか?」や「かゆみがあるか?」です。毛が切れている場合には、自分で傷つけた結果であったり、または毛がもろくなる病気などの可能性があります。そもそも生えていないように見える場合には、内分泌の異常などの原因も考えられます。また、かゆみの有無でも原因を推測することが可能です。
また、脱毛の場所も、一部だけなのか、全身なのか、左右対称に脱毛が見られるのかについても観察しておくと良いでしょう。

かさぶたやフケが多い

かさぶたやフケが多い場合には、かゆみの有無が重要です。かゆみがある場合は、感染症や寄生虫などを、かゆみが無い場合は、内分泌疾患(ホルモン異常)や栄養の不足または偏りなどを考えていきます。

皮膚や毛が脂っぽくなる

皮膚や毛が脂っぽくなる皮膚や毛が脂っぽくなる脂漏症(しろうしょう)という病気があります。脂漏症にかかるとフケが増加し二次的な皮膚の炎症を伴います。

脂漏症は、遺伝的な「原発性」と、何らかの病気が原因となって引き起こされる「続発性」にわけられます。原発性脂漏症にかかりやすい犬種として、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、ウエストハイランド・ホワイトテリア、バセットハウンドなどが知られています。また、続発性脂漏症の原因として、アトピー性皮膚炎や内分泌疾患が知られています。

かゆがる

犬のかゆみは、引っ掻く、舐める、こすりつけるといった行動にあらわれます。

かゆみの原因は大きく5つのカテゴリーに分類され、病歴、症状、身体検査の所見に基づき診断を進めていきます。

  1. 寄生虫:ノミ、ヒゼンダニ、シラミ、マダニなど

  2. アレルギー:アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど

  3. 炎症:細菌・真菌・酵母(マラセチア)等の感染、免疫介在性疾患など

  4. 神経原性:心因性(ストレスなど)など

  5. 腫瘍性:肥満細胞腫、皮膚リンパ腫など

発疹が出る

犬にみられる発疹として丘疹(きゅうしん)や水疱(すいほう)、膿疱(のうほう)などがあります。丘疹は直径1cm以下の皮膚の隆起のことで、水疱は皮膚の下に水が貯まりふくれた状態(いわゆる水ぶくれ)、膿疱は水疱の中身が膿(うみ)であるものを指します。

発疹で、ある程度原因を推定することが可能で、例えば膿疱を形成する疾患には、膿皮症、皮膚糸状菌症などがあります。

犬の皮膚病の主な原因

「アニコム家庭どうぶつ白書2018」によれば、犬の皮膚病の内訳として第1位が原因未定の皮膚炎(17.0%)、第2位が膿皮症/細菌性皮膚炎(15.3%)、第3位がアレルギー性皮膚炎(8.1%)となっています。

アレルギーによるもの

「アニコム家庭どうぶつ白書2018」によると、犬の皮膚病の原因の第3位が「アレルギー性皮膚炎(8.1%)」です。

なかでも、犬の「アトピー性皮膚炎」は、最も一般的な犬のアレルギー性の皮膚病で、良くなったり悪くなったりを繰り返し、軽度~強度の痒みをともないます。この病気は、生後6ヶ月から3歳頃に最初の症状が出るのが一般的で、発症には、遺伝的な原因や、犬種、居住環境など、多くの要因が関与すると考えられています。犬種によってアトピー性皮膚炎の発症率に差があることから、遺伝的な影響も考えられています。

また、食物アレルギーも多く見られます。フードに含まれる鶏肉や牛肉などにより、痒みや慢性下痢などの症状を起こします。

細菌の感染によるもの

細菌感染による皮膚病の代表例として、「膿皮症(のうひしょう)」があります。人では「とびひ」などと呼ばれることもある病気です。膿皮症の原因となる細菌は、通常、犬の皮膚表面に常在菌として存在しています。健常であれば病変はでませんが、皮膚のバリア機能の異常が起きることで発症すると考えられています。

皮膚バリア機能の低下を引き起こす要因として、内分泌疾患やアレルギー疾患が背景にあることが多いと考えられています。また、皮膚バリア機能が未熟な子犬での発症も多くみられます。

真菌の感染によるもの

真菌の感染による皮膚病には、皮膚糸状菌症や酵母(マラセチア)感染があります。

皮膚糸状菌症は、皮膚や被毛に真菌(カビ)が感染することで起こる病気ですが、この病気も皮膚のバリア機能が低下することで発症しやすくなります。 また、感染した犬と接触することで、飼い主にも感染して皮膚炎を起こすこともあるので、注意が必要です。

心因性(ストレス)によるもの

人間も、ストレスが知らず知らずのうちに皮膚病として現れることが知られていて、ストレスにより悪化する皮膚病としてアトピー性皮膚炎があります。

犬でも、ライフスタイルや犬の性格などが、皮膚病の発症に関与しています。具体的には、ケージ内で過ごす時間が長く、運動が不足していたり、体格にあわないケージなどで飼育されている、さらには、飼い主との関係がうまく構築できていない、同居動物との不仲なども問題を引き起こす可能性があります。

心因性の場合、尾を噛む、わき腹を吸う、足先を舐める、陰部を舐めるといった行動がみられ、これらが部分的な皮膚病の原因になります。

寄生虫によるもの

寄生虫の感染による皮膚病では、ノミ、ヒゼンダニ、マダニ、シラミなどが原因となります。ノミやマダニは予防薬で予防することができるので、しっかり予防することが大切です。

特に症状が激しいのが疥癬(かいせん)で、これはヒゼンダニというダニによって起こる皮膚病です。このヒゼンダニは皮膚にトンネルを作って寄生するため、激しい痒みや皮膚炎を起こします。また、伝染性が強いので、感染動物との接触やブラシやタオルの共有などを避ける必要があります。

犬の皮膚病を調べる方法

診察台の犬

経過をしっかり観察しておく

皮膚病の治療には、問診が重要となるので、獣医さんにしっかりと病気の経過を説明する必要があります。


まずは、皮膚の一番気になっていることについて伝えます。例えば、「顔周りをよく掻く」や「背中の毛が抜けてきた」などです。また、犬の年齢、品種、性別、避妊去勢手術の有無も重要な情報です。また、外部寄生虫(ノミやダニなど)がいないかについても、家で分かる範囲で調べておくとよいでしょう。


次に病歴として、もしあれば現在治療している病気や、過去に治療をした病気について伝えるようにしましょう。これらが手掛かりとなる場合があります。


最後に皮膚病の状況として、病気が進行しているか、治療を行っていればその治療に対してどのような反応があったか、痒みのレベル(1日中掻いているのか、時々掻く程度か)、家庭内の他の動物やご家族に皮膚病がいないか、きっかけとなる事がなかったか、などを思い出せる限り獣医さんに伝えましょう。


アレルギー検査

アレルギー検査は、診断の補助的な位置付けで行われることがあります。血液を数ml採取し、検査機関に出して結果を待ちます。例えば、室内飼育のアトピー性皮膚炎の犬では、環境アレルゲンとして、ハウスダスト(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ)に対する反応が強くみられるのが特徴的です。しかし、アレルギー検査の結果は、症状や他の検査結果とあわせた解釈が必要となる場合があるので、獣医さんと相談するのがおすすめです。

血液検査

内臓の疾患が皮膚病として現れている場合があるので、血液検査を行うことがあります。ホルモン異常が疑われる場合は、検査項目として、甲状腺や副腎のホルモンを調べることもあります。血液検査で異常が見つかった場合には、追加でレントゲン検査や超音波検査を実施していきます。

犬の皮膚病の治療と注意点

まずは原因を調べる

犬の皮膚病では、症状や病歴に合わせて、様々な検査を組み合わせて診断を進めていきます。


外部寄生虫の感染の可能性を除外しておくことは重要です。これが原因の場合には、比較的早く治療が終了することもあります。ノミは、くしを使って被毛の中のノミや、その糞を探します。ニキビダニや疥癬を疑う場合には、皮膚表面を軽く擦り顕微鏡で確認します。ただし、検査でも見つからないこともあるため、見つからない場合でも試験的に駆虫薬を投与することで、症状が軽くなるかをみる方法もあります。


食物アレルギーを診断または除外するために、アレルギー用フード(除去食)を与えることがあります。アレルギー用フードにより皮膚症状が改善した後、原因と思われる食品を与え、症状が再発した場合、食物アレルギーと確定診断されます。


症状(痒みや犬種、発症時の年齢など)からアトピー性皮膚炎を疑った場合に、かゆみ止め(グルココルチコイドなど)を投与してかゆみに効果が見られた場合には、アトピー性皮膚炎の疑いが増大します。アトピー性皮膚炎は複数の原因が重なって本質が見えにくくなっている場合もあり、検査を組み合わせて慎重に診断されます。


皮膚の感染症が疑われる場合には、皮膚の細胞を見る検査、細菌を培養する検査、薬を試験的に使って反応を見ていくなどの方法がとられ、発疹や痒みの程度を評価しながら根底にある原因(感染源)を探っていきます。


原因が不明の場合や腫瘍が疑われる場合などには、皮膚の一部を切り取って検査を実施する皮膚生検を行う場合があります。


皮膚病の治療で一番大切なのは、皮膚病を的確に診断することであり、そのためには、飼い主と獣医師の連携が重要です。


治療にかかる費用は?

治療にかかる費用は皮膚病の原因により大きく異なります。例えば、ノミの寄生であれば、一回の駆虫で治療が完了することもあり、その場合は費用も千円~数千円程度で済みますが(ただし、その後も定期的に予防する必要はあります)、アトピー性皮膚炎であれば、よくなったり悪くなったりを繰り返すことも多く、犬の体重にもよりますが年間で数十万円となる場合もあります。

サプリメントは効果がある?

皮膚病の原因によっては、サプリメントを使用する場合があります。例えばアトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでは、皮膚バリアの機能を保つために必須脂肪酸を含んだサプリメントが推奨されています。

どうすれば予防ができる?

アトピー性皮膚炎や原発性脂漏症の場合には、遺伝的な素因が考えられ、この場合には予防することは難しいと考えられますが、早期に発見することで重症化を防ぐことができます。一方で、ノミやマダニといった外部寄生虫は、定期的な予防薬の使用で予防することが可能なので、しっかりと予防してあげましょう。

さいごに

撫でられて気持ちよさそうな犬

皮膚病は、内臓疾患などと違い、目に見えるので、異変があればご家族でもすぐに気がつくことができます。日頃から愛犬とのスキンシップを行うことで、早期に異常を発見できるようにしていきましょう。

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